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『NARUTO』に短歌はよく似合う。(その4)〜二人行けど行き過ぎ難き秋山を〜

二人行けど行き過ぎ難き秋山を いかにか君が独り越ゆらむ
(ふたりゆけど ゆきすぎがたき あきやまを いかにかきみが ひとりこゆらん)


この歌の作者は、「その3」で取り上げた歌の作者でもある大伯皇女(おおくのひめみこ)です。
「その3」で、弟である大津皇子(おおつのみこ)を見送ったのと同じタイミングで詠んだとされている歌です。
(「その3」へのリンクは下のほうにあります。よろしければどうぞ。)

歌の大意は……まあ、難解な歌ではないので、読み方がほとんど意味そのものです。
「二人で行ったとしても越えるのが困難な秋の山道を、あなたはどうやって一人で越えていくのだろうか」というようなものでしょうか。

この歌が、どのシーンの誰を連想させるのかといえば――今回はちょっとスパンが長いです――「イタチが、サスケとの最初で最後の、本気の対決へと赴く前あたりから、最期を迎えたその瞬間まで」を、です。

「行き過ぎ難き秋山」とは、「うちは一族に生まれ、うちはの者として生きる、重くて困難な人生」のこと。

イタチが一族を殺して里を抜けた後、サスケはイタチへの復讐のため必死に生き、力を求め続けましたが、イタチにしてみれば、サスケの行動のうち大半のことは、織り込み済みの予想済みだったんですよね。
そしてイタチとて、サスケと同じくらいか、もしかしたらそれ以上に、「うちは一族に生まれ、うちはの者として生きる、重くて困難な人生」を背負っていたはずです。

イタチにしてみれば、自分もサスケも、「行き過ぎ難き秋山」を歩んでいる者だったでしょうし、そういう意味では、サスケと「二人」で苦しい道を歩んでいるんだ、と思って、己を保ち続けたこともあったかも知れない、と思えるのです。

まあ肝心のサスケのほうは、イタチが生きている間に、兄のそんな思いに気づくすべはなかったわけですが……。

イタチは弟サスケに恨まれ、憎まれながらも、その弟に降りかかる危険を払い続け、弟を守り続けましたが、(自分の病が篤くなって)自分が死んでしまえば、それもできなくなるということはわかっていたはずです。
だからイタチは、自分の死期を悟った時から、早すぎも遅すぎもしない時期に自分の瞳力をサスケに贈るにはどうすればいいか、タイミングを計ってもいたでしょう。

そしてイタチは、その最期の瞬間には、「サスケのため、里のため、自分ができることはすべてやった」と思えた(と私が思いたい)反面、しかし今度こそたった1人で残されるサスケのことが心配でならない気持ちもまた、完全に消し切れてはいなかったと、私は思います。
自分が逝った後、弟はどうなるのか……イタチが抱いていたに違いないこの心情を思うと、「いかにか君が独り越ゆらむ」という言葉が詠み込まれた掲出歌が、自然に浮かんできてしまうのです。


(この「『NARUTO』に短歌はよく似合う。」シリーズって、「ナル短」シリーズと略そうか、と今日思いつき、「おお、言いやすいじゃないか」と、ちょっと悦に入っております(笑)。
この「『NARUTO』に短歌はよく似合う。」というシリーズタイトルも、あるエッセイのパクリなのですが、それについてもいずれ書けたら書きたいと思います。)


このシリーズの「その1」はこれ↓
『NARUTO』に短歌はよく似合う。(その1)〜あらざらむこの世のほかの思ひ出に〜に戻る

このシリーズのうち、今日のものの直前の「その3」はこれ↓
『NARUTO』に短歌はよく似合う。(その3)〜わが背子を大和へ遣るとさ夜深けて〜に戻る

次の記事はこれ↓
『NARUTO』に短歌はよく似合う。(その5)〜うつそみの人にあるわれや〜に進む



テーマ:NARUTO - ジャンル:アニメ・コミック


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